一見客 one shot customer 2005 6 18
京都には、「一見客、お断り」という店があるそうです。
一見客とは、初対面の客のことです(広辞苑)。
つまり、なじみの客しか、受け付けないということです。
こんな話を聞くと、多くの人は、
「そんな店、お高くとまっているような態度は、気に入らない」と思うでしょう。
しかし、決して、お高くとまっているわけではないのです。
たとえば、夫婦二人で、小料理屋を経営していたとします。
そして、毎日、平均して、50人ぐらいのお客が来るとします。
そうすると、50人分の材料を仕入れ、50人分の仕込みをするでしょう。
もっと、お客を受け入れれば儲かると思いますが、
夫婦二人で、お店を運営して行くには、体力的に、50人のお客が限界だと思うでしょう。
そこへ、その店が、たまたま雑誌で紹介されて、
大量のお客が押しかけたら、どうなるでしょうか。
あまりの忙しさに、料理の味が落ちるかもしれません。
あまりの忙しさに、体力的に、疲れ果ててしまうかもしれません。
疲れ果ててしまったら、よい仕込みができなくなるかもしれません。
固定客は、突然の混雑に、お店を敬遠するかもしれません。
もしかすると、お店がうるさくなったと言って、別の店に行ってしまうかもしれません。
さらに、困ったことに、雑誌で見て、押しかけてきた客は、
たいてい遠くからやってくるので、もう二度と、お店には、来ないでしょう。
こうしてみると、なじみの客相手に商売している方が、よかったと言えるでしょう。
そういうわけで、「一見客、お断り」となるのです。
小さな店が、急に、大きな店となったら、味が落ちてしまった。
そんな話を、よく聞きます。
大きな店にするには、たくさん従業員を雇う必要があります。
そうすると、結果的に、味は、人任せになってしまうでしょう。
店主が、すべての味付けを見ることはできないからです。
優秀な弟子が出現しない限り、店主の味を伝えることはできないでしょう。
大企業になることが、すべてよいとは限らないのです。
中小企業には中小企業の良さがあります。
そうした中小企業を社会的に守っていくことも必要です。
日本企業の99%は、中小企業と言われます。
不良債権処理 bad-debt disposal 2004 12 24
不良債権処理は、現在、最終段階にあると言われます。
しかし、この不良債権処理の手順に、誤りがあったために、
国民生活に重大な影響が及んだと言えるでしょう。
大口の不良債権である、
「ゼネコン、流通、不動産」の不良債権処理を後回しにした結果、
どうなったのか。
結局、不良債権処理の加速は、中小企業に向かうことになったのです。
そして、中小企業に対する不良債権処理の加速どころか、
中小企業に対する「貸し渋り、貸しはがし」まで起きてしまいました。
これが、日本経済を萎縮させたのです。
「ゼネコン、流通、不動産」の不良債権処理は、国民生活に重大な影響が出ると言って、
こうしたものを後回しにした結果、中小企業に対して厳しい不良債権処理となり、
これが、結果的に、国民生活に重大な影響が及ぶことになったのです。
日本企業というと、大企業を連想するでしょうが、
実は、日本企業の大部分は、中小企業です。
大企業は、日本企業の数パーセントしかありません。
こうした不幸な結果は、「政府の失敗」と言えるでしょう。
原則は、大口の不良債権である「ゼネコン、流通、不動産」の
不良債権処理を先行させるべきだったのです。
しかし、こうした産業には、政官業の癒着がありましたので、
ズルズルと、後回しになってきたのです。